よむきくたべるあるくみる

現在「そだてる」モードにつき、どれも中途半端。

ゆれる

アミューズCQNで見てきました。
一言で言うと後味が悪い映画でした。いや、貶しているわけではないです。良い作品です。監督は私と一歳しか違わないのに凄すぎる。主役も脇役もみんな個性があって役者も良くて。特にキム兄の検察官が嫌味ったらしくて素晴らしかった。ピエール瀧はもっと出てくるのかと思ったらあれだけだった。
後味が悪い、というのは、見終わっても一体どっちが真実なのか分からなかったから。もちろん、これは推理モノではないので、はっきりと「これが真実」てのはなくてもいいのだけど、でも弟の証言が嘘だったとしたら、そのせいでいろんな人の人生がおかしくなってるわけで、弟の罪ははかりしれない。真実だとしたら弟だけが影響を受けることなく過ごしていることが空恐ろしい。もしかしたら弟が見たのはどっちとも取れる場面だけで、自分の心境1つで証言も変わってしまったのかもしれないけれど。でも、それが嘘でも真実でも、弟があの証言をしてしまったことで兄弟の間は(親子の間も)変わってしまっているから、元には戻らない。兄は最後、弟を見て微笑むけど、きっとあのままバスに乗ったに違いない。何かそんなことを考えてもやもやしてました。ノベライズも読んでみようかなあ。
でも映画の作りとしてはとても分かりやすい。橋が使われてるから。弟は橋をさっさと渡ってあっち側に行けるけれど、兄は橋を渡るのが怖いからあっち側には行けない。事件が橋の上で起こったのもそういう意味があるんだろう。しかもその橋が吊り橋で、映画のタイトルは「ゆれる」。下手すると難解になるものを、分かりやすく描いているなあと思った。
本筋と関係ないところでは、オダジョの横顔がJと似てるなあ、とずっと思いながら見てました。正面からだと似てないし、今まで全く似てるなんて思わなかったのですが。髪型とヒゲのせいだなきっと(breakのジャケ写を見ると同意していただけるかもしれない)。
あと何故か、父親と子供2人のヒゲダンスを見て泣けた。確かにその辺りは泣かせどころなんですが、そこで昔のフィルム見て泣いて考えを変えるのはちょっとベタだなあ、と冷静に思ってたんですよ。寧ろヒゲダンスは泣かせどころなのに笑っちゃう部分だと思うんですよ。多分あの時CQNにいた中でヒゲダンスで泣いたのは私だけだと思います。私はドリフは何となく覚えてる程度にしか見てないし、特別思い出もないんだけど。